高山辰雄展など

高山辰雄展(世田谷美術館)と岡本神草展(千葉市美術館)は、必見の展覧会としてチェックしていた。
ということで、今回は一泊二日で、世田谷美術館 → 千葉市美術館 → すみだトリフォニーホール(航空自衛隊航空中央音楽隊定期演奏会)へ。
合間に、銀座・京橋の画廊街をぶらぶらしたのだが、お目当ての画廊のいくつかが平日にもかかわらず閉じている。かっては、展覧会がなくとも常設展で開けていたものだが・・・

高山辰雄の東京美術学校卒業制作「砂丘」(東京藝術大学蔵)
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この絵のキャプションに、砂浜の植物が「弘法麦(コウボウムギ)」であると記してあった。
先月、米子の海岸で見たのだが、名前がわからずにいた。
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☆高山辰雄展
かって、東山魁夷、杉山寧、高山辰雄を指して「日展三山」と称されていたのだが、この三人の中で一番好きなのが高山辰雄(1912-2007)である。
特に、60代以降の、付立筆でひたすら点描のように色を置いていく描法で、人物等の輪郭線が明確に描かれていない作品に惹かれる。
柔らかい空気に包まれているような人物は、画面にぼんやりと浮かんでいるようでいて、その存在感を強く意識させられる。

かって放送されたN○Kの「日曜美術館」で、高山はこう語っている。
「絵ってのは、体を包んでいる空気ってのが大事でね。あの空気の感じってのが、絵を見せてくれるしね。いい絵なんて見てるとね、そういうのみんな出ているよね。」

人物画以外でも、牡丹を描いた作品も魅力的。生前、新作として発表されたときの展覧会も記憶にある。
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☆岡本神草展
大正期の京都画壇というと、国画創作協会、大正デカダンスなどがキーワードとして浮かんでくる。
甲斐庄楠音(1894-1978)や稲垣仲静(1897-1922)の回顧展を過去に観ているが、その濃密かつ妖艶な人物画は強烈な印象として残っている。岡本神草(1894-1933)もそれに連なる画家とは認識していたが、「口紅」など数点は眼にしたことがあるものの、これだけまとまった作品を観るのは今回が初めて。
楠音とは同年生まれでともにライバルとして競った仲だが、仲静とも交流があったようだ。

神草は竹久夢二の影響を受けたようで、モチーフとした舞妓も竹久夢二風。何とも微妙な絵だ。
花見小路春宵(部分草稿:1916)
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しかし、2年後に描かれた代表作「口紅」は、夢二風から浮世絵風に変わり、濃密で妖艶な画風に変貌を遂げている。大下図が展示されていたが、顔はまだ普通っぽい。
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ただ、4、5年後には徐々に普通の日本画風に変わっていってしまっている。四条派の流れを汲む菊池契月に師事したことも、当然の成り行きかもしれない。

関連画家14人の作品も展示されていた。
甲斐庄楠音の代表作「横櫛」(1918年)。
神草の「口紅」とともに第1回国画創作協会展に出品され、賞を競ったという作品。
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稲垣仲静の「太夫」(1919年頃)。岸田劉生言うところの「デロリ」感満載の作品。
2010年の練馬区立美術館「稲垣仲静・稔治郎兄弟展」以来の再会。
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岡本神草は38歳で夭折しており、本画は少ないが、そのかわり大下図、草稿など資料が充実した展覧会だった。
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※図版は公式図録より

☆航空自衛隊航空中央音楽隊第56回定期演奏会
曲目は、
1歌劇「タンホイザー」より大行進曲(R.ワグナー)
2喜歌劇「メリーウィドウ」よりヴィリアの歌(F.レハール)
3交響詩「前奏曲」(F・リスト)
4交響曲第1番「指輪物語」(J.デ=メイ)
5アンコール 航空自衛隊公式行進曲「空の精鋭」(矢部政男)
「2」は、昨年初めて空自音楽隊に採用された女性ヴォーカリスト、森田早貴1等空士による独唱。
「4」、「5」には、チェロ4本がエキストラ参加。
やはり、コンサートホールにおけるフルバンドの演奏は、聴き応えがある。
昨年の定期演奏会では演奏されなかった、「空の精鋭」が聴けたのはうれしかった。好きな曲である。
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  by dabohaze48 | 2018-06-17 19:14

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